つづき・・・。




微妙な沈黙が流れて、

だけど、二人ともそこから動かずにいた。

耐えかねて、あたしが駅の方向に歩こうとすると、

「そっちかい。」

って言って、あの人がついてきた。

その行動で、あたしは、

これは、いける?

そう思って、思い切って言った。

「あ・・・?もしかして、祝ってくれるとか??」

すぐに「祝わへんわっ。」って言われた。

「あっそ。いーもん別に。」

わかってたし。ダメもとだと思ってたし。

どうせ都合のいい時にセックスするだけの関係だし。

そっぽを向いて、地面の石を靴底でゴロゴロしてると

「あーもう、じゃぁー。」

予想外に焦った声が背後から聞こえた。

「一杯だけいくかぁ?」

「マジで??!!!」

あたしの振り向くスピードはすごく速かったと思う。

それで、目もきっと輝いていたと思う。

だって、すごく嬉しかったから。

あの人のマンションの1階にある、

うすぐらいごはんバーで、

「21歳おめでとう。」

って乾杯してくれた。

こうなるってわかってたら、もっとオシャレしてきたのに。

そう思いながらお酒に口をつけた。

ごはんもお酒もすごくおいしかった。

あの人がおごってくれた。

「送って欲しい?」

あの人に聞かれて、

あたしは、酔ったせいもあって、

「うん!」

と素直に答えた。

マンションの立体駐車場の壁沿いにあたしを連れてくと、

「ここ寒くないから待っとけ。」

と言って、あの人は、家へ駐車場の鍵を取りに行った。

しばらくすると戻ってきて、

「あやしいなー。そんなとこいると。」

と笑いながらあたしに近付いてきた。

あたしは、冷たいコンクリートの壁にもたれていた。

その壁のあたしの頭のすぐ横に立体駐車場の扉を開ける機械があった。

あの人は、そこに鍵をさそうとした。

そのまま、顔が近付いてきて、キスされた。

うっすらとタバコのにおい。

何も考えずにいた。

何も言わずにいた。

それからまっすぐ家に送ってくれた。

お礼を言って、車を降りる前にまたキスをした。

あの人はいつのまにか、あたしの腕を掴んでいて、

なかなかキスが終わらなかった。

こんなふうにあたしに時間とお金を費やしてくれたことが嬉しかった。

だけど、何も期待なんてしない。

そう自分に言い聞かせた。

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