2001年11月24日(土)
あたしは、バイト先で、異動することになった。
今までは、化粧品売り場。
これからは、あの人のいるスポーツ用品売り場の隣の
ジーンズ店。
偶然だった。
あの人に報告すると、なぜか喜んでくれた。
2003年11月26日(月)
夜にあの人からメールが来た。
「学園祭行くんか?」
大学に行ってから学園祭とかって行ったことなかった。
サークルにも入ってなかったし、
休んでるほうが嬉しかったから。
だからいかへんなぁ・・・みたいな会話をしてると、
「まぁ、また飯でも食おうや。」
というあの人のメールが来た。
それで、予定をあわせてると、今日しかなくて、夜会うことになった。
9時ごろからごはんを食べ始めたこともあって、
帰りに京都から電車に乗ろうとしたときは、
すでに11時はとっくにすぎていた。
「送ろか?」
というあの人の言葉にあたしは、甘えて、
あの人の家の最寄の駅で降りるために
2人で各駅停車に乗って帰った。
ただ、長く一緒に居たいだけだった。
けど、そんなこと、男である相手に理解されるわけもなく、
あの人はきっと、あたしがきっとセックスしたがってると
誤解したに違いない。
したくないかといったらそれも違うんだけれど。
車に乗って、走り出すと、もう少しだけ帰りたくないなぁと思った。
「今日は家、あいてんのか?」
あの人がボソッと言った。
どうなのかなぁーと、曖昧な返事をして、
あたしは、また紛らわしい態度をとった。
「マジでー?」
とあの人は笑って、
「じゃあまた琵琶湖でも行くかー。」
と言って、車を走らせた。
あたしも、その場しのぎでも一緒に居れるなら、と嬉しくなって
「琵琶湖、琵琶湖ー。」
とはしゃいだ。
コンビニに寄ったとき、
「今日は、ちゃんと寝に行く?」
とあの人はちらりとあたしを見て尋ねた。
今更、自分の純粋な恋心なんて、伝えたいとも思わなかったが、
「帰ろっかなぁ。」とイジワルをした。
「帰るんかい。」
あの人は、言って、家の鍵あいてないんだろうとか、なんとか
いろいろ言い訳をして、あたしを泊まらせようとしているのが
明らかで、おもしろかった。
暗い駐車場で、話して、
またどさくさにまぎれて、手を握ってきた。
わざとすぐに払って、放すと、いつもと違うあたしの態度に、不思議そうな顔をしていた。
その反応を楽しんでいたら、
急に、腕を引っ張られて、キスをされた。
いつもそう。
ささやくみたいな甘い声。
普段とは違う目。
あたしを甘やかすみたいな話し方。
普段は、そっけなくて、冷たいくせに。
いつも、他の人にもこうやって迫ってるんだな、と想像させる。
あたしは、面倒くさくなって、眠くて、肌が荒れるのはいやだとか、
そんな理由で、
まいっか、と思った。
そして、ホテルに行くことにした。
あの人は、エレベーターの中でもあたしにキスをした。
この人ってあたしの彼氏だったっけ、と思うほど
キスをした。
部屋に入って、いちゃいちゃして、じゃれて、
いつのまにか服を脱いで、セックスをした。
体でつながるって、なんて簡単なんだろうと思った。
心のほうは、なかなかそうもいかないのに。
セックスなんて簡単にできる。
あっけないほどに。
しかも、なんの心情の変化も与えない。
あたしを抱きながら、あの人は、あたしの名前を呼んだ。
もちろん、「付き合ってる」と言う形がないからこそ
お互いにラクなことも多い。
あたしの精神的な負担も、割り切ることで
軽くなっていたとも言える。
けど、逆に、その形がないことで、
ものすごい虚無感に苛まれるようなことも、
あたしだけには、あった。
好きなんだ、だから、形なんていらないんだ、
そう思っていても、
どこかで、その「形」が欲しくてたまらない自分もいた。
でも、問い詰めたり、にじり寄ったりしない。
答えを求めるつもりもない。
会えなくなったりするほうが
今のモヤモヤよりよっぽど辛いと思った。
あの人の車の助手席で吸う、朝の気だるい空気がキライ。
あたしを何もないところへ戻さないで。
現実に返さないで。
あたしに、たくさん考える時間を与えないで。
吐き気がするほど、憂鬱だった。
この車を降りれば、また、現実が待ってる。
いつもどおりのそっけないあの人に戻る。
あたしとあの人の関係も、またいつもどおりに戻る。
朝なんて、来なければいい。
あたしは、するりと助手席を降りて、あの人の車を見送った。
別れ際のキスはしなかった。
あたしは、バイト先で、異動することになった。
今までは、化粧品売り場。
これからは、あの人のいるスポーツ用品売り場の隣の
ジーンズ店。
偶然だった。
あの人に報告すると、なぜか喜んでくれた。
2003年11月26日(月)
夜にあの人からメールが来た。
「学園祭行くんか?」
大学に行ってから学園祭とかって行ったことなかった。
サークルにも入ってなかったし、
休んでるほうが嬉しかったから。
だからいかへんなぁ・・・みたいな会話をしてると、
「まぁ、また飯でも食おうや。」
というあの人のメールが来た。
それで、予定をあわせてると、今日しかなくて、夜会うことになった。
9時ごろからごはんを食べ始めたこともあって、
帰りに京都から電車に乗ろうとしたときは、
すでに11時はとっくにすぎていた。
「送ろか?」
というあの人の言葉にあたしは、甘えて、
あの人の家の最寄の駅で降りるために
2人で各駅停車に乗って帰った。
ただ、長く一緒に居たいだけだった。
けど、そんなこと、男である相手に理解されるわけもなく、
あの人はきっと、あたしがきっとセックスしたがってると
誤解したに違いない。
したくないかといったらそれも違うんだけれど。
車に乗って、走り出すと、もう少しだけ帰りたくないなぁと思った。
「今日は家、あいてんのか?」
あの人がボソッと言った。
どうなのかなぁーと、曖昧な返事をして、
あたしは、また紛らわしい態度をとった。
「マジでー?」
とあの人は笑って、
「じゃあまた琵琶湖でも行くかー。」
と言って、車を走らせた。
あたしも、その場しのぎでも一緒に居れるなら、と嬉しくなって
「琵琶湖、琵琶湖ー。」
とはしゃいだ。
コンビニに寄ったとき、
「今日は、ちゃんと寝に行く?」
とあの人はちらりとあたしを見て尋ねた。
今更、自分の純粋な恋心なんて、伝えたいとも思わなかったが、
「帰ろっかなぁ。」とイジワルをした。
「帰るんかい。」
あの人は、言って、家の鍵あいてないんだろうとか、なんとか
いろいろ言い訳をして、あたしを泊まらせようとしているのが
明らかで、おもしろかった。
暗い駐車場で、話して、
またどさくさにまぎれて、手を握ってきた。
わざとすぐに払って、放すと、いつもと違うあたしの態度に、不思議そうな顔をしていた。
その反応を楽しんでいたら、
急に、腕を引っ張られて、キスをされた。
いつもそう。
ささやくみたいな甘い声。
普段とは違う目。
あたしを甘やかすみたいな話し方。
普段は、そっけなくて、冷たいくせに。
いつも、他の人にもこうやって迫ってるんだな、と想像させる。
あたしは、面倒くさくなって、眠くて、肌が荒れるのはいやだとか、
そんな理由で、
まいっか、と思った。
そして、ホテルに行くことにした。
あの人は、エレベーターの中でもあたしにキスをした。
この人ってあたしの彼氏だったっけ、と思うほど
キスをした。
部屋に入って、いちゃいちゃして、じゃれて、
いつのまにか服を脱いで、セックスをした。
体でつながるって、なんて簡単なんだろうと思った。
心のほうは、なかなかそうもいかないのに。
セックスなんて簡単にできる。
あっけないほどに。
しかも、なんの心情の変化も与えない。
あたしを抱きながら、あの人は、あたしの名前を呼んだ。
もちろん、「付き合ってる」と言う形がないからこそ
お互いにラクなことも多い。
あたしの精神的な負担も、割り切ることで
軽くなっていたとも言える。
けど、逆に、その形がないことで、
ものすごい虚無感に苛まれるようなことも、
あたしだけには、あった。
好きなんだ、だから、形なんていらないんだ、
そう思っていても、
どこかで、その「形」が欲しくてたまらない自分もいた。
でも、問い詰めたり、にじり寄ったりしない。
答えを求めるつもりもない。
会えなくなったりするほうが
今のモヤモヤよりよっぽど辛いと思った。
あの人の車の助手席で吸う、朝の気だるい空気がキライ。
あたしを何もないところへ戻さないで。
現実に返さないで。
あたしに、たくさん考える時間を与えないで。
吐き気がするほど、憂鬱だった。
この車を降りれば、また、現実が待ってる。
いつもどおりのそっけないあの人に戻る。
あたしとあの人の関係も、またいつもどおりに戻る。
朝なんて、来なければいい。
あたしは、するりと助手席を降りて、あの人の車を見送った。
別れ際のキスはしなかった。
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